悪玉(LDL)コレステロールを下げる食事とは?オススメの食材は?
つの食品健康課目次
悪玉(LDL)コレステロールを下げる食事とは?オススメの食材は?
はじめに
健康診断の結果でひっかかりやすいコレステロール値の異常。はじめは大したことがなくても、放っておくと血液中の脂肪が増えすぎて血液がドロドロの状態になり、動脈硬化につながります。
動脈硬化は自覚症状がなく進行し、心筋梗塞や脳梗塞等を引き起こす怖い生活習慣病。そうなる前に初期段階で対策することが重要です。
コレステロール値が異常と診断されたときに参考にしていただきたい対策とオススメの食材をご紹介します。
悪玉(LDL)コレステロールを下げる食事とは?
– 3食をバランスよく食べる
朝食もしっかり、一日3食バランスよく食べることが重要です。朝食を抜く人が増えていますが、食事の間隔が空くことで代謝低下や食欲増加につながったり、エネルギーを蓄積しようとして脂肪の燃焼力が落ちるなど、悪玉(LDL)コレステロールが上昇する可能性が報告されています。
また、主食となるご飯などを控えると、おかずで脂質を摂りすぎたり間食することが多くなるため、主食・主菜・副菜をバランスよく食べることが重要です。
– エネルギー摂取量を適正に
性別・年齢・身長・体重・活動量などを考慮した適正なエネルギー摂取量を心がけることが重要です。脂肪分の多い肉や揚げもの、糖分の多いスイーツやジュースなどを摂りすぎないように注意しましょう。
– コレステロールを下げる食べ物を取り入れる
悪玉(LDL)コレステロールを下げる食材や調味料を取り入れることも有効です。植物油や魚油などに多く含まれる不飽和脂肪酸にはコレステロールを低下させる作用があります。
キャノーラ油やオリーブオイル・こめ油・アマニ油・エゴマ油といった油脂類、サバやサンマなどの青魚を積極的に食事に取り入れましょう。ただし、油脂類はカロリーが高いので摂りすぎには要注意です。
– 飲酒・喫煙は控えめに
適度にアルコールを摂取すると、善玉(HDL)コレステロールが上昇するというよい効果もありますが、過度に飲酒しすぎると中性脂肪が増えたり、食事量も増えて高カロリー摂取になることも。適度な量を心がけ、休肝日をつくることが重要です。
また、タバコを吸う習慣があると、悪玉(LDL)コレステロールを上昇させることが報告されています。喫煙習慣を見なおすことも効果的かもしれません。
コレステロールを下げる食べ物・飲み物
【コレステロールによい食べ物】
1)魚油が豊富な青魚
魚の油に多く含まれる不飽和脂肪酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)やEPA(エイコサペンタエン酸)には、善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らす効果があります。
サバやサンマ、マグロなどの青魚には多くの魚油が含まれます。DHAやEPAは熱に強く焼き魚や煮魚でも摂れますが、脂分が外に出てしまうので、お刺身で食べるのもオススメです。魚の脂肪分は酸化しやすいため、新鮮なうちに食べるようにしましょう。
2)植物油
オリーブオイルやキャノーラ油、こめ油・亜麻仁油・えごま油といった植物性油にも不飽和脂肪酸が多く含まれます。動物性油を控え植物油の割合を高めるようにしましょう。
中でも、こめ油は他の植物油と比較してビタミンEをトップレベルに多く含んでいます。更にビタミンEの約50倍の抗酸化力をもつスーパービタミンEや、お米のポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質“γ-オリザノール”も含み、抗酸化力の高い成分がたくさん含まれる油なのです。
酸化したコレステロールは動脈硬化を進行させるため、抗酸化物質を多く含むこめ油はオススメです。
3)食物繊維が豊富なもの
食物繊維の中でも、水溶性食物繊維は腸内でコレステロールや中性脂肪にくっつき、それらが吸収されるのを阻害して体外に排出する働きがあります。水溶性食物繊維が多く含まれる昆布・ワカメ、オクラ・モロヘイヤ・納豆・山芋・こんにゃくといった、ネバネバした食材を積極的に取り入れるとよいでしょう。
4)大豆製品
植物性タンパク質にもコレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあります。納豆や豆腐など、植物性タンパク質を多く含む大豆製品はコレステロール対策としてオススメの食品です。
5)抗酸化物質を多く含む食品
動脈硬化を進行させる一番の原因は、酸化した悪玉(LDL)コレステロールです。コレステロールの酸化が促進されないように、抗酸化物質を多く含むものを取り入れることは効果的です。抗酸化作用のあるビタミン類(A、C、E)やポリフェノールを含む食品を意識的に選びましょう。
ビタミンAはレバーやうなぎなどに多く含まれる脂溶性ビタミン。ビタミンCはブロッコリー、キウイ、ピーマンなどに多く含まれる水溶性ビタミン。ビタミンEはアーモンド、ピーナッツ、植物油に多く含まれる脂溶性ビタミンです。ポリフェノールは緑茶やブルーベリー、プルーンなどに多く含まれます。
【コレステロールによい飲み物】
緑茶に多く含まれるポリフェノールの一種、カテキンには悪玉(LDL)コレステロールの吸収を抑える効果があり、抗酸化成分も多く含むのでオススメです。お酒を飲む場合はポリフェノールを多く含む赤ワインがオススメです。ただし飲み過ぎには注意してください。
注意したい!コレステロールの高い食べ物
悪玉(LDL)コレステロールを増やしてしまう、不飽和脂肪酸を多く含む動物性の油には注意が必要。バターや牛乳、ラード、脂身の多いお肉の摂りすぎに気をつけましょう。お肉を食べる際には、牛肉や豚肉ならヒレ肉、鶏肉ならササミや胸肉など、比較的脂身の少ない部位の選定をオススメします。
かつては鶏卵や魚卵、レバーなど、コレステロールそのものを多く含む食品の摂取を控えるべきと言われていました。しかし、食事によって摂取するコレステロール量は血中コレステロール値に及ぼす影響が低いとわかり、2014年には厚生労働省が定めるコレステロール摂取量の基準が撤廃されました。
コレステロール値の異常が指摘された際には、コレステロールを含む食品よりも、悪玉(LDL)コレステロール値を上げる食材の摂りすぎに注意することが重要と言えるでしょう。
コレステロールを下げたい人にオススメのレシピ
コレステロールは気になるけどボリュームのあるものを食べたい!というときにオススメのレシピをご紹介していきます。
1)こめ油マヨネーズ
カロリーが気になるマヨネーズも、抗酸化成分をたっぷり含み、悪玉(LDL)コレステロールを下げる効果のある不飽和脂肪酸や植物ステロールを多く含むこめ油を使えば、罪悪感なく食べられるのでオススメです。
【作り方】
・卵黄1個、お酢大さじ1、塩小さじ1/2をボウルに入れて泡立て器で混ぜます。
・こめ油100mlを少しずつ加えながら泡立て器でよく混ぜます。最初の約50mlは、ほんの少しずつ糸状に垂らしながら混ぜるのがコツ。卵黄の大きさによって必要な油の量が変わるので、お好みの硬さになるまで加えてください。
2)アボカドと鶏ムネ肉のサラダ
コレステロールが気になる方のキーワード、「不飽和脂肪酸」や「抗酸化成分」をはじめ、ビタミン・ミネラル・葉酸などあらゆる栄養素を含むスーパーフード、アボカドを用いたレシピです。鶏ムネ肉をたっぷり使うことで動物性脂肪分は抑え、タンパク質をしっかり摂取できます。
【作り方(3~4人分)】
・鶏ムネ肉200~300gを約5等分に切って沸騰したお湯で3~4分茹でて火を通します。
・水を切って冷めたら、食べやすい大きさに手で裂きます。
・ボウルにサイコロ状に切ったアボカド1個、こめ油マヨネーズ(上記)大さじ3を入れて混ぜ、鶏ムネ肉を入れて和えます。最後に塩で味を整えて出来上がり。お好みで醤油やわさびを加えても美味しくいただけます!
3)アボカドと豆腐のわさび醤油サラダ
コレステロールが気になる方のキーワード、不飽和脂肪酸や抗酸化成分をはじめ、更にビタミン、ミネラル、葉酸などあらゆる栄養素を含むスーパーフード、アボカドを用いたレシピです。植物性タンパク質も豊富に摂れるのでオススメ。
【作り方(2~3人分)】
・ボウルにこめ油大さじ1、醤油大さじ1、お酢大さじ1、わさびチューブ約3cmを入れて混ぜます。
・水切りした豆腐(絹、木綿どちらでも)1丁、サイコロ状に切ったアボカド1個を入れて混ぜたら出来上がり。味が薄い場合は、お塩で味を整えてください
4)長芋のフライドポテト風
ジャガイモではなく、水溶性食物繊維を多く含む長芋を使用。更に揚げ油にこめ油を使用することで、コレステロールを気にする方にもぴったりです。
【作り方】
・長芋は皮付きのまま厚さ1cmの斜め輪切りにし、1枚を7~8mm幅の棒状に切り、酢を少し振りかけ、ぬめりが無くなったらさっと水洗いして水分を拭き取ります。
・片栗粉大さじ2と青のり粉小さじ1を混ぜ合わせた衣に絡ませます。
・フライパンに多めのこめ油を入れ、両面をこんがり揚げ焼きにしてください。
・塩と青のり、お好みでブラックペッパーをふりかけて出来上がり。
*料理研究家 足立 敦子先生のレシピ
よりコレステロールを下げるためには?
適度な運動を習慣づけることは効果的。運動によって悪玉(LDL)コレステロールが下がり、善玉(HDL)コレステロールが上がる効果も認められています。体に負担をかけすぎない程度に、ウォーキングやサイクリング、軽いジョギングをはじめることももちろん効果的です。通勤時にひと駅分歩たり、エスカレーターやエレベーターを使う代わりに階段の昇り降り習慣を取り入れてみるなど、日々できることから少しずつはじめてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
コレステロール値の異常は、特別な症状がないのに動脈硬化などの怖い病気を進行させてしまうきっかけとなります。気になりはじめたときに食生活を見直し、適度な運動習慣を取り入れることで、数値改善を目指しましょう。